投稿して頂いた怖い話「消失した夏休み」

オカルト系
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消失した夏休み

【怪談朗読】消失した夏休み【Coco】

タイトル:消失した夏休み

ハンドルネーム:ハルさん

俺は去年の夏休みの初日に不思議な夢を見た。

テレビでよく見るアイドルと修学旅行に行くという夢で、和気あいあいと話をして、冗談を言っては大ウケ、スノーボードや雪合戦をしたりとそれはもう楽しい夢だった。

途中までは…

修学旅行なのになぜか団体行動が一切無く、全て自由時間だった。

アイドルとの自由時間、ありえない程のノリの良さ。

その時点で俺は夢だと薄々気付いていた。

昔から、夢の中で夢だと気付ける場合がある。

そういう時は、楽しければあえて夢から覚めず楽しみ、悪夢の場合はさっさと起きる、という感じでコントロールしていた。

修学旅行の最終日。

『早くしないと置いていくよー。』とバスの中から俺を呼ぶ声。

「ちょっと待ってってw」と笑いながら返し、泊まった宿の玄関で荷物をまとめている時、バスに向かう生徒とバスに乗っている生徒が急に焦りだした。

そして、そのままバスは発車してしまった。

俺は完全に置き去りにされた。

夢の中でも怒り、悲しみ、ショックというか呆然としていると、宿の主と思わしき、80代くらいの見た目のお爺さんが玄関から入ってきた。

俺は怒りながらお爺さんに事情を説明した。

そうすると、お爺さんは『ここで待っていなさい、必ず迎えが来る。』

俺はなぜかお爺さんの言葉に違和感を覚えた。

もう潮時だな、そう思って夢から覚めるように念じた。

だが、何も起こらない。

夢から覚められないのだ。

こんなことは今まで無かったのに…

するとお爺さんは『ここにいなさい。』と繰り返した。

そのお爺さんの雰囲気に、このままここに居たら帰れなくなるような気がした。

というか、旅館に泊まっていたはずだが、いつからこんな所に居たんだ?

いつの間にか小さな古い平屋の民家に俺とお爺さんの2人だけになっていた。

俺は帰る素振りを見せたら何か恐ろしいことが起こるような気がしたので、毅然とした態度で「わかったよ。」と言いつつ、逃げる隙をうかがった。

お爺さんが夕飯の買い物に行くと言い出したので「なら俺が行ってくるよ、タダで泊まらせてもらうのは悪いし。」と申し出た。

これなら自然に外に出られる。

というか逃げるチャンスだ。

お爺さんはニコニコしていたんだが、その時は真顔になって俺に買い物のメモを渡してきた。

俺はそのメモを受け取り、玄関を開けた。

戸を開けると、そこはよく知る友人の家の庭だった。

夢あるあるなのか、よく場面が変わる。

ここからなら家も近い、俺は急に強気になって「じゃあなお爺さん、俺は家に帰るぜ。」と脱兎の如く逃げ出した。

だがその瞬間、体がふわふわと浮くような感覚にとらわれて踏ん張りがきかず、上手く走れなくなった。

振り返るとお爺さんが追いかけてきていた、満面の笑みで。

捕まったらヤバいのは言うまでもない。

とりあえず力を振り絞って道路に出たが、このままでは捕まってしまうので、近くにあったカーブミラーにふわふわを利用し、ジャンプして飛び乗った。

お爺さんは手を伸ばして、届くか届かないかの距離で俺に触れようとしてきた。

通行人も居たが、お爺さんの存在どころか俺の存在にも気付いていない様子で、助けを求めても無反応。

ポケットからスマホを出し、警察に通報することにしたが110番にかからない。

というより液晶をタップしても触れた番号と表示される番号が合わず、電話をかけられない。

そうしていると、お爺さんの首が伸び始め、俺に近づいてくる。

もうだめだ!と思った瞬間に夢から覚めた。

「あー、最初はいい感じだったのに途中から嫌な感じだったなー。」と寝ぼけながらスマホを見る。

「あれ?今年の夏休みって20日からだよな…?」

夏休み初日の20日の夜に見た夢で、今日は21日のはずなのにスマホには23日と表示されている。

1階に降りて日めくりカレンダーを見ると20日のままだった。

一緒に暮らしている両親は20日の朝に旅行に出かけ、帰ってくるのは23日の夕方だ。

日めくりカレンダーをめくるのはいつも俺の日課だった。

今日が23日なら、二度もめくり忘れるはずがない。

テレビをつけて日付を確認したが、やはり今日は23日。

2日間の記憶が全くない。

つまり俺は2日半も寝ていたことになる。

そういえばあの夢は修学旅行…

2日半、そうだ…

ちょうどあの意味不明の宿というか民家に居た時間と一致するのだ。

覚められない夢、一致する時間、変な民家とお爺さん。

今年の夏休みはあんな夢を見ないといいが…

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