異世界
タイトル:異世界
ハンドルネーム:ヒカリさん
昔、エレベーターで異世界に行けるという話を聞いたことがあるかと思います。
僕も当然チャレンジしました。
そこは10階建てのマンション。
エレベーターは東と西に一つずつありました。
僕は東側のエレベーターに乗って、手順通りにボタンを押して昇っていきます。
扉が開いて、閉まって、また次の階に…
確か8階だったと思います。
エレベーターを誰かが呼んだのか、その階に行きました。
エレベーターにはスーツ姿の男の人が乗ってきました。
僕はその男と2人きりに…
静寂のなか、男は話しかけてきました。
『何階に行くの?』
なんだろう、とても低い声でなんだかゾワゾワしました。
「あ、僕は5階です。」
適当にやり過ごそう…
僕は嘘をついて、1階で男が降りたのを確認して、またエレベーターで昇ったり降りたりを繰り返していました。
すると、男が帰ってきたのか、今度は1階でまた乗り込んできます。
また静寂のなか、男は言いました。
『また会ったね。5階には行ったの?』
やはりなんだか怖いと思いつつ、「いえ、まだです。」と言うと、とてもゆっくりな口調で静かに『おかしいな…』と言いました。
『そこにはもう眠っているはずなのに…』
「なにが…?」
怖くなって僕は次の10階で降りました。
降りると、すぐ近くの階段から…
コツンコツンコツンと誰かが上がってくる足音が聞こえて、僕は逃げるように屋上に向かいました。
屋上への扉は幸い開いていたのですが、なぜか出たら戻れないような錯覚に陥りました。
勇気を出して階段を降りていくことにしました。
コツンコツンコツン。
足音は明らかに僕の横を素通りしたような感じでした。
「よかったぁ。」
僕は安心して、1階に降りるためにエレベーターを呼びましたが、全く動く気配がありません。
仕方なく西側のエレベーターで1階に降りて帰宅しました。
次の日、そこに住んでいる友人に会いにマンションを訪ねました。
「昨日、お前んちのマンションのエレベーターでさ、異世界に行く方法を試したんだけどさ、めっちゃ怖かったよ!」
友人は意外なことを言いました。
『あれ?でも東側って故障してるから動かなかったろ?』
「えっ…?」
全身から鳥肌が立つのが自分でも分かりました。
僕が乗っていたエレベーターは一体…?
しかも、スーツ姿の男の人が5階の住人を殺したという話もあったそうです。
屋上も普段は施錠しているので、開くことは絶対にないそうです。
僕が会ったあの男は犯人だったのでしょうか?
犯人はその後に自殺したという噂もありました。
5階の人を殺して、最後に飛び降り自殺…
異世界は異世界でもとんでもないことに関わろうとしていた、怖すぎた出来事でした。
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