🕯️はじめに:誰もいないブランコが揺れる公園
埼玉県さいたま市北区宮原町。住宅街の中にある「松原公園」には、少し物騒な噂が残っています。
風がないのにブランコが揺れる。子供の声が聞こえる。さらに「昔、この公園で殺人事件や死体遺棄事件があった」という話まで。
ただ、噂を調べ始めると、妙な点に気付きます。事件があったというのに、いつ、誰が、どのような事件に巻き込まれたのかがはっきりしないのです。
今回は松原公園の心霊話をたどりながら、さいたま市の公園台帳や地域史と照らして、この場所で確認できることを整理します。
🗺️松原公園の情報
松原公園の基礎情報
名称:松原公園(まつばらこうえん)
所在地:埼玉県さいたま市北区宮原町4丁目42(市の台帳上の代表地番)
公園種別:街区公園
面積:約0.83ヘクタール(市の財産資料では8,332平方メートル)
当初開設:1974年(昭和49年)4月1日
最終開設:1977年(昭和52年)5月28日
現況:現存する都市公園
公園緑地協会の「さいたま公園ナビ」でも、松原公園は宮原町4丁目42に掲載されています。心霊サイトには「4丁目40-8」などの住所表記もありますが、ここでは市の正式な公園台帳に記載された代表地番を採用しました。
松原公園の場所
👻松原公園に纏わる噂と心霊現象
- 誰も乗っていないブランコが、風もないのに揺れる。
- 夜の公園で子供の霊や子供の声に遭遇する。
- 白い服を着た女性の人影が現れる。
- 公園のベンチに誰かが座っているような気配がする。
- 過去に殺人事件や死体遺棄事件が起きたという噂がある。
- 「バラバラ殺人」「自殺者が出た」といった別の事件説も語られる。
もっともよく知られているのは、無人のブランコと子供の霊の組み合わせでしょう。心霊情報サイト「全国心霊マップ」では、殺人・死体遺棄説とともに子供の霊の噂が紹介されています。一方、同じページの心霊現象の分類には「女性の霊」と記載されています。話によって現れる人物像が一致していないのも、この公園の特徴です。
出典:全国心霊マップ「松原公園」
🔎松原公園をさらに深掘り
実は50年以上の歴史がある公園
さいたま市が公表している都市公園一覧には、松原公園の当初開設日が1974年4月1日、最終開設日が1977年5月28日と明記されています。面積はどちらも0.83ヘクタールです。
市の台帳には都市計画決定日も残っています。最初の決定は1974年9月11日、最後の決定は2004年7月30日。開設日と都市計画決定日は別の項目として記録されているため、この日付だけから工事の経過や増改築の内容まで推測することはできません。
少なくとも、近年「いわくつき」として新しく整備された場所ではなく、旧大宮市の時代から続く地域の公園だということは確かです。
出典:さいたま市「都市公園一覧・街区公園」松原公園の欄
公園のある宮原町は、もともと「宮原村」だった
公園がある北区宮原町の歴史をさかのぼると、1889年(明治22年)に成立した宮原村に行き着きます。加茂宮村・吉野原村・奈良瀬戸村・大谷別所村の4村が合併して誕生した自治体で、村名は加茂宮の「宮」と吉野原の「原」に由来します。
1940年(昭和15年)には宮原村が大宮町などと合併し、大宮市が発足。松原公園が開設された1974年の住所は、まだ「さいたま市」ではなく「大宮市」でした。現在のさいたま市は2001年に成立し、北区は2003年の政令指定都市移行で設置されています。
ただし、これは公園周辺の行政史です。現在の公園敷地に昔どんな建物が建っていたのかまでは、この沿革からは分かりません。そこを調べるには開設前の地図や地籍資料との照合が必要です。
出典:国立国会図書館レファレンス協同データベース(埼玉県立図書館の調査。『大宮市史 第3巻 下 近世地誌編』および『角川日本地名大辞典 11 埼玉県』を参照)/さいたま市「市の歴史」
「殺人事件」「死体遺棄事件」は本当にあったのか?
松原公園に関するネット上の情報では、殺人事件と死体遺棄事件がほとんどセットのように語られています。ところが、その多くには事件の発生年月日、被害者の情報、新聞記事名などが付いていません。
2024年9月26日公開の「ウワサの心霊話」でも、公園で遺体が見つかったという筋書きが紹介されています。しかし、掲載文には事件を特定できる日付や報道の出典が示されていません。
今回確認できた自治体資料や公開されているニュース・心霊情報の範囲では、この公園で実際に殺人・死体遺棄事件が起きたと断定できる一次資料を特定できませんでした。
これは事件が絶対になかったという意味ではありません。一方で、ネット上で繰り返されているというだけで「事件現場だった」と書くこともできません。発生年が特定できれば、旧大宮市時代の新聞縮刷版や埼玉県警の記録をさらに追えるはずです。
出典:心霊考察「松原公園|ウワサの心霊話」(2024年9月26日)/全国心霊マップ「松原公園」
さらに「バラバラ殺人」「自殺」という別の話まで
松原公園の事件の噂を調べると、殺人・死体遺棄だけではありません。過去には「バラバラ殺人事件があった」「自殺者が出た」という形でも紹介されています。
アメーバブログ「旅芸☆ナビ」の埼玉県心霊スポット紹介記事は、こうした説を挙げたうえで、心霊スポットになった根拠となる資料がないことに触れています。つまり、以前から噂の真偽に疑問を呈する紹介も存在していたわけです。
ひとつの事件が語り継がれているのか、別々の噂が混ざったのか。それすら判別できない状況です。実際の事件に結び付ける前に、まず噂の出所と変化を追う必要があります。
出典:旅芸☆ナビ「埼玉の心霊スポット…。」
子供の霊と女性の霊、どちらが古い噂なのか
心霊サイトでは、ブランコのそばに現れる子供の霊がよく登場します。しかし、別の紹介文には白い服の女性やベンチの人影の話も見られます。
2018年10月31日に公開されたYouTube動画「幽霊を呼ぶ音を心霊スポットで流してみたら、本当に異変が起きた!」の説明欄には、松原公園のブランコがひとりでに動くという噂を調査した旨が明記されています。少なくとも2018年には、ブランコの怪談が映像企画の題材になるほど知られていたことが分かります。
一方、女性の霊やベンチの怪異がいつ頃から語られていたのかについては、今回確認できた情報だけでは前後関係を確定できません。
出典:ハニトラ梅木の墓チャンネル「水曜日の怪談#15」(2018年10月31日公開)/心霊考察「松原公園|ウワサの心霊話」
地元の公園として使われている記録も残っている
心霊サイトだけを見ていると、松原公園は人の寄り付かない場所のように感じるかもしれません。しかし、市の行政資料には違う一面も残っています。
さいたま市の「令和5年度第1回さいたまはーと推進協議会 資料3」では、2023年3月10日に松原公園で高齢者向けの電動アシスト自転車試乗体験が行われ、参加人数は22人と報告されています。
事件の真偽を直接示す資料ではありませんが、この場所が普通の地域活動にも利用されていることは分かります。心霊スポットとしてのイメージだけで、現在の公園の姿を判断すべきではないでしょう。
出典:さいたま市「令和5年度第1回さいたまはーと推進協議会 資料3・令和4年度取組結果」
📷松原公園に実際に行ってみた












😱松原公園の恐怖度
雰囲気:★★☆☆☆
立地:★☆☆☆☆
心霊現象の有無:★★☆☆☆
過去の事故事件の有無:★☆☆☆☆
総合評価:★★☆☆☆
✍️まとめ
今回は埼玉県さいたま市北区にある松原公園を調べました。
心霊スポットとして広まった話の中心には、誰も乗っていないブランコと子供の霊があります。2018年に公開された動画の説明欄からも、その頃には既に知られた噂だったことが確認できました。
一方で、殺人・死体遺棄・バラバラ殺人などの話は、事件を特定できる資料が見つかっていません。出来事の名前ばかりが増えて、肝心の日時や記録が残っていないのです。
確実に言えるのは、この公園が1974年から続く街区公園であり、現在も地域の活動に使われているということ。事件の噂については、今後古い新聞や地域資料から日付のある記録が見つかれば、改めて検証したいところです。
住宅街の公園ですので、訪れる場合は近隣住民や利用者への迷惑にならないよう注意してください。
というわけで、今回はここまで。
最後まで読んでくださってありがとうございました。
それでは――お憑かれさまでした。
🔗関連する心霊スポット
公園や森林に残る噂と地域の歴史を調べた記事では、群馬県の群馬の森についても紹介しています。
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