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Coco
ライター:Coco
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投稿して頂いた怖い話「向かいのマンションの女性」

オカルト系
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向かいのマンションの女性

タイトル:向かいのマンションの女性

ハンドルネーム:匿名希望さん

これは私の高校時代の先輩から聞いた話です。

先輩は都会に強い憧れを持っていて、大学を卒業してすぐに上京して就職しました。

その時に東京で住む場所を探していたのですが、上京したてということでお金に困っていたので、家賃が安い物件を探していたそうです。

その上にできれば駅から近くて、築年数の浅い綺麗な物件を探していました。

でもそんな好条件な物件で家賃が安いということは滅多になくて…

そのことを不動産屋さんに相談すると「心理的瑕疵物件であればその条件でも予算内に収めることができるのですが、いかがでしょうか?」と聞かれました。

心理的瑕疵物件という言葉を知らなかったのですが、前の住人が死んだ物件、いわゆる事故物件のことだそうです。

さすがに先輩も事故物件に住むのだけは絶対に嫌だったみたいで断ったそうです。

その後、たまたま別の不動産屋さんで先輩は自分の条件に合いそうな物件を見つけました。

それは駅から徒歩10分以内、築年数が25年以上経っているマンションなので見た感じは古めかしいのですが、室内は新築同然にリフォーム済みで更に最新の設備が整っていたそうです。

一番重視していた家賃が周辺の相場よりも数段安く、先輩の望んでいた条件がほとんど揃っていました。

前に事故物件を勧められたことを思い出し、不動産屋さんに「この部屋、やけに安いですけど、事故物件とかじゃないですよね?」って念のために確認したそうです。

「事故物件ではないですよ。」と笑顔で言ってくれたので、先輩は安心して、この部屋を借りることを即決しました。

そして内覧も引っ越しも無事に終わり、住み始めてから1ヶ月が過ぎようとした時のことです。

先輩は「綺麗で設備も便利なのに、部屋にいると何か分からないけど不快感があるんだ。」ということを、私や共通の友人によく相談していました。

会社に入社したてで仕事に追われる日々が続いていて、疲れているせいだと思っていたらしいのですが…

日に日にその不快感は強くなっていき、それと同時に部屋でおかしな現象が頻発するようになったそうです。

何も触っていないのにテレビが勝手についたり、仕事から家に帰ってくると荒らされたように散らかっていたり…

更には寝ていると金縛りにあったこともあるそうです。

そんな大変な日々を送っていた先輩にも唯一の楽しみがありました。

それはベランダで外の景色を眺めながら、煙草を吸ったり、お酒を飲むのが至福のひとときだったそうです。

ベランダにいると部屋にいる時のような不快感が無く、リラックスできました。

いつものようにベランダでゆっくりしていると、なぜか分かりませんがその日は向かいのマンションが無性に気になったそうです。

ふと、向かいのマンションの同じ階のベランダを見てみると、女性がこっち側のマンションの方を向いて、寂しそうにぼーっと立っていました。

はっきりとは顔は見えなかったらしいのですが、胸まで伸びた黒くて長い髪に青白い肌で白いワンピースというすごく気味の悪い格好でした。

その格好のまま、だいたいの感覚ですが5分以上静止していました。

異様な様子に先輩は、もしかして自殺しようと迷っている?それともこの世のものではない?と色々と考えを巡らせたのですが…

その女性、急にこっちに向かって満面の笑みで『おーい。』って手を振ってきたそうです。

こっちに知り合いでもいるのかな?って思ったそうなのですが、明らかに自分の方を向いて手を振っていましたし、誰かが返事をする様子もありませんでした。

その様子に怖くなって、先輩はがたがた震えながら部屋に戻ったそうです。

そして次の日もベランダを開けて、煙草を吸いながらゆっくりしていると、また向かいのマンションからニコニコしながら女性が手を振ってくる…

次の日も、その次の日も、そのまた次の日も。

それが1週間くらい続いた時に仕事中に体調を崩して会社を早退することになりました。

会社からの帰り道、駅で電車を待っている時。

目の前に例のベランダの女性がいることに気付きました。

今まではベランダだけでしか見たことがなかったのに、こんなところにまでついてくるなんて…

先輩は毎日の現象にうんざりしていたこともあって、その女性に「もういい加減にしてくれ!」と言うと、女性は不思議そうな顔で先輩を見つめてきました。

『あ、いつもベランダにいてる方ですよね?』と女性。

話してみると、霊だと思っていた女性は向かいのマンションに住む大学生だったそうです。

幽霊じゃなかったという安心感もあって、他愛もない話をしていると、女性が…

『今日はお子さん保育園ですか??』と言ってきました。

当然ですが、先輩に子供はいません。

女性が言うには、いつもベランダで先輩に肩車されて、元気良く『おーい。』って手を振っている子供がいるのだとか…

それを見て女性も微笑ましいなって、手を振り返していたそうです。

いつも手を振ってきていたのは、そのせいなのか…と思うと一気に血の気が引く思いをしました。

すぐに後日、不動産屋さんに問い詰めてみると、マンションが新築の頃に先輩の部屋のベランダから子供が落ちる事故があったそうです。

その子供はコンクリートにぱーんって叩きつけられて、ぐちゃぐちゃになってしまいました。

それから先輩が入居するまでに何人も入居していて、告知義務が無くなったから言わなかったのだとか…

事故物件でも誰かが一度住むと、事故物件としての告知義務は無くなります。

今でもその部屋は普通の物件として貸し出されているそうです。

皆さんも物件を借りる時は気を付けてくださいね。

知らず知らずのうちに事故物件だった場所に住んでいるかもしれませんよ。

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