🕯️はじめに
2階の奥の部屋で、女性の霊と目が合う。焼けた一室には、今も何かが残っている。千葉県東金市のホテル活魚(油井グランドホテル)は、そんな噂とともに知られてきた廃ホテルです。
森の中に尖った屋根が見え、建物の中には赤い浴槽や鏡張りの天井が残っています。名前は「活魚」なのに、見た目はどこか洋風の古いラブホテル。食事の店だったのか、宿泊の場所だったのか、その組み合わせも妙に気になります。
今回は2015年6月25日撮影の24枚を掲載します。落書きだらけになった客室と廊下をたどりながら、昔の営業案内、古い掲示板の噂、そしてこの場所で報じられた事件を調べました。
🗺️ホテル活魚(油井グランドホテル)の基本情報
名称:油井グランドホテル(ゆいグランドホテル)
通称:ホテル活魚・活魚ホテル・かつぎょ
所在地:千葉県東金市油井
施設:ラブホテルを経て、活魚料理も提供したとされる2階建ての建物
撮影日:2015年6月25日
その後:少なくとも2025年の報道時点で建物が残存
「活魚」は、営業時の看板から定着した通称です。近くにある白い5階建ての東金の未完成ホテルとは別の施設。以下の内部写真は2015年の記録で、現在の姿ではありません。
👻ホテル活魚の噂・心霊現象
- 女性の霊が現れ、2階の奥の部屋で目が合うという噂。
- 客室で焼身自殺があり、その後も自殺が相次いだといわれる。
- 営業中に宿泊客のカップルの間で刺殺事件が起きたという話もある。
2階の奥で目が合う女性
よく語られるのが、2階の客室に女性の霊が出るという話です。暗い廊下の先、部屋の奥にいる女性と目が合う。その姿を、このホテルに結びつく事件の被害者だとする噂もあります。
窓から部屋の中が見える場所もありますが、外から建物全体を見渡せるわけではありません。客室の入口は暗く、奥には鏡もある。そんな空間に「見られている」という話が重なると、扉の向こうが気になります。
焼けた部屋と、営業時代の刺殺事件の噂
もうひとつは、一室で焼身自殺が起きたという噂。その部屋をきっかけに他の自殺も続き、ホテルが心霊スポットになったと語られることがあります。訪問記でも、内装が大きく失われた一室が、この話と結びつけられてきました。
さらに、宿泊中のカップルがもめ、刺殺事件になったという話も残っています。焼身自殺、客室での殺人、女性の霊。活魚にはいくつもの話が重なっていますが、ここではまず広まっている怪談として紹介します。
📷ホテル活魚に実際に行ってみた
草の向こうに、尖った屋根が見える



舗装路の両側まで植物が広がり、その向こうに三角形の屋根が見えています。草に隠れた赤茶色の屋根と黄色っぽい壁。近づいた写真では、2階に並ぶアーチ窓と、ベランダの丸い開口が分かります。
建物そのものは横に長い2階建てです。森の中に小さなお城のような装飾が残っていて、「活魚」という和食の店を思わせる名前と、外観の印象がなかなか結びつきません。
破れた縞模様の庇と、開ききった1階



茶色と白の縞模様の庇は、布が裂けて細く垂れ下がっています。その下では窓や大きな開口部からガラスが失われ、室内が外へむき出しになっていました。
低い壁にも柱にも落書きがあり、建物沿いには壊れた機器が残っています。2階の窓飾りにはホテルらしい形があるのに、下の階は空洞が並んでいるような状態です。
外階段から、落書きの廊下へ



外階段の脇には木の枝が伸び、上には扉があります。廊下の写真では、壁紙がめくれ、黒い文字が何度も重なるように書かれています。天井にも大きな穴があり、奥へ行くほど暗くなっています。
その先の一室は、壁の仕上げがほとんど失われ、白い下地と天井の骨組みが見えています。外のアーチ窓と同じ形だけが、かつての部屋の造りを残していました。
ピンクの壁と、赤い浴槽



別の部屋には、はっきりしたピンク色の壁が残っています。天井には黒い装飾があり、床には白い箱型の機器。隣の浴室を望む開口部と、壊れて下地の見える壁も写っています。
浴室は、ピンクと濃い赤のタイルに赤い浴槽。正面には花柄のパネルまであります。埃と破片に覆われてはいますが、この色使いには、営業していた頃の派手な雰囲気が残っています。
鏡台、壊れた洗面所、長い廊下



小さな鏡台の奥に、赤いベッド状の台が見えます。壁にはアーチ形の飾りがあり、足元には紙や部材が散らばっています。家具がなくなった部屋とは違って、人が使っていた場所の形がまだ読み取れます。
洗面所では鏡が割れ、洗面ボウルが台から外れていました。再び廊下の写真になると、客室の色彩は消え、落書きと天井の穴が続きます。部屋の中と通路で、残り方がかなり違います。
扉の赤い文字と、赤い壁の部屋



開いた扉の向こうにも、細い廊下が続いています。別の扉には、赤い文字で「トイレ」と左向きの矢印。塗料が下へ長く垂れ、妙に目を引く案内になっています。
赤い壁の部屋では、縦長の装飾パネルが大きく剥がれていました。床には外れた大きな板が立て掛けられ、周囲には壁紙や部材が積もっています。ホテルの飾りと、壊されたあとの姿が一緒に残る部屋です。
円形の浴槽と、鏡張りの天井



こちらの浴室には、黒い円形の浴槽が残っています。先ほどの赤い浴槽とは形も色も違い、周囲のタイルには花の模様。客室ごとに内装を変えていたことが分かります。
黄色い部屋の天井には、鏡とシャンデリアが残っていました。花びらのようなシェードが付いた照明と、ひび割れた鏡。そのあとに続く階段は、両側の壁が壊れ、細い木組みと破片だらけになっています。
下の階に残る、大きな丸い穴



下の階の広い空間にはカウンター状の囲いがあり、天井材が垂れ下がっています。白い壁に残った設備の跡や小さな窓も、かつての使われ方を想像させます。
最後の部屋には、床に大きな円形の穴が開いています。中には土や植物、破片、機器のようなもの。客室の丸い浴槽とは別物で、建物の床そのものが円く抜けたような形です。この穴は、営業当時の資料を読むと、少し違った見え方をしてきます。
📚ホテル活魚の歴史・事件・古い記録
営業パンフレットに残る「いけす料理」と宿泊案内
廃墟検索地図は、油井グランドホテルが昭和50年代に開業し、1995年頃にホテル営業を終え、その後の料理店も1998年頃に閉業したと紹介しています。ただし、正確な開業・転業・廃業年月を裏付ける原簿は、今回確認できていません。
営業の中身を示す資料として、Ruin’s Catの訪問記には、現地に残っていたパンフレットの複製画像が掲載されています。そこには「いけす料理」「活魚大衆割烹」の文字、魚料理の写真、大きな円形の水槽が並びます。宴会だけでなく、「ご宿泊」の案内もありました。
和室の写真には座卓があり、客室らしいアーチ形の造りも残っています。ラブホテルの外観と魚料理の名前が食い違って見えるのは、建物にそうした使われ方が重なっているためなのでしょう。料理店になった時点で宿泊が完全に終わった、とまでは、この案内からは言えません。
2002年には、すでに事件の噂が語られていた
みみずん検索に残る掲示板ログ「千葉の心霊スポット6」では、2002年1月24日に、活魚で本当に殺人事件があったのかという問いが出ています。同月26日の投稿には、宿泊客の別れ話が殺人に発展し、それが閉業の原因だったという噂への疑問も記されていました。
これは、その殺人事件を確認した報道ではありません。それでも、2004年の事件より前の日付で、すでに活魚の怪談が交わされていることは見逃せません。後の事件だけを、すべての噂の始まりとする説明には収まりきらない記録です。
2004年12月に報じられた女子高校生の殺害事件
2004年12月22日、茂原駅前から連れ去られた17歳の女子高校生が、東金市油井のホテル跡で殺害される事件が起きました。当時の報道を転載した保存記録では、現場が廃屋のホテルだったこと、警察の捜査や市長らの視察が伝えられています。
2005年11月16日の判決報道を残した転載にも、このホテル跡での殺害と遺体遺棄が記されています。今回、新聞の原紙と判決原本までは閲覧できていませんが、この事件は、営業時代の刺殺や焼身自殺の噂と一括りにはできません。
2011年には、別の用途で再利用する計画もあった
2025年9月27日の読売新聞オンラインの取材記事には、その後の経緯も載っています。乗馬体験事業を行う会社が2011年7月に敷地を取得し、建物を乗馬クラブのクラブハウスへ改装する予定だった、と担当者が説明しています。
しかし、配線の盗難やぼやなどで利用が難しくなり、解体費用も重いため、そのまま残っているという内容です。建物が長く残る理由について、怪談とは別に、再利用計画と費用の問題が報道されています。
🔍ホテル活魚の噂の真相と考察
丸い穴は、生け簀の跡なのか
写真の大きな床の穴と、営業パンフレットの円形水槽。どちらも大きく、料理店時代の設備を考える手掛かりになります。Ruin’s Catでも、この穴は水槽に関わる跡ではないかと考察されています。
ただ、当時の配置図や工事図面は未確認です。同じ場所に水槽が据えられていたのか、穴がどの工事でできたのかまでは分かりません。今のところは生け簀に関係した可能性のある跡として見るのがよさそうです。
焼けた部屋、赤い壁、実際の事件を分けて読む
2002年のログにある殺人の噂を、2004年の事件そのものとすることは、年代が合いません。一方、そのログだけで、営業中に別の殺人があったと決めることもできません。焼身自殺や自殺の連鎖についても、当時の報道を裏付けとして確認できませんでした。
室内の破損や火災の跡があっても、それだけで亡くなった人や火災の原因までは分かりません。赤い壁、赤い浴槽、赤い文字も写真に写る建材や落書きです。実際に報じられた事件の存在と、女性の霊を見たという話は、それぞれ別に確かめる必要があります。
活魚の不気味さには、使われなくなった客室、激しい破壊、昔からの怪談、後に起きた事件が重なっています。それらをひとつの呪いの物語にまとめてしまうと、建物がたどった時間も見えにくくなってしまいます。
⭐ホテル活魚の恐怖度
雰囲気:★★★★★
立地:★★★★☆
心霊現象の有無:★★☆☆☆
過去の事故事件の有無:★★★★☆
総合評価:★★★★★
長い廊下の暗さと、色の残る客室、壊れた鏡の組み合わせは強烈です。事件についての報道はありますが、それを霊の存在の証明として評価しているわけではありません。
🕯️まとめ
ホテル活魚には、赤い浴槽やシャンデリアだけでなく、魚料理や宴会、宿泊を案内した頃の記録も残っていました。床の大きな穴も、生け簀を並べた営業案内と見比べると、ただ正体の分からない穴ではなくなってきます。
2002年にはすでに事件の噂が交わされ、2004年には実際の殺害事件が報じられています。昔の怪談と、その後の出来事を分けて読むと、「最恐の廃ホテル」という呼び名だけでは拾えない、この建物の長い時間が見えてきます。



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